肩の動きをスムーズにするために。~肩の不調を解消するためのポイント~

京橋・桜ノ宮からアクセスが便利な、城東区・旭区に隣接する大阪市の鶴見区の今福鶴見にある、からだの悩みを『姿勢』から改善するfocoluluピラティス&パーソナルトレーニングスタジオ代表の石堂浩毅と申します。

 

今週で5月が終わり、金曜日からいよいよ本格的に暑さが増してくる6月に入ります。

 

個人的には冬より夏派ですが、寝ている時に耳元で蚊が飛んでいる音がとても苦手なので寝る前は部屋の中を隅々まで確認してから寝るようにしています(笑)

 

さて、本日は肩を動かした時に起こる不調や違和感について、解消のためのポイントをお伝えしていきたいと思います。

 

私が担当しているお客様の中に、以前から肩の不調で悩んでおりセッションを受けられているお客様がいらっしゃいます。

 

原因も特に見当たらないけどある時から痛くなった

・服の着脱、シャンプーが思うように出来ない。

 

不調の内容は、腕を動かす時に痛くて動きが制限されている状態でした。

 

痛くなったキッカケや原因について、特に思い当たることはなく気がついたら痛くなっていたとのことでした。

 

痛みは腕を挙げた時や後ろに回した時に出現するため、日常生活では衣服の着脱をスムーズに行うことが出来ず、お風呂でシャンプーをする時も髪の毛を十分に洗えないなど、日常生活に影響を及ぼしていました。

 

そして、痛みは朝起きてベッドから起き上がる際に一番強くなるとのことです。

 

病院でレントゲンを撮っても特に問題となる異常はなく、処方された痛み止めのお薬を飲んでも症状はなかなか解消されないと困っておられました。

 

私も肩ではありませんが脚の痛みで目が覚めていた時期があり、痛みで目が覚めてしまう日が続くといつまで続くのかと心配な気持ちでいっぱいになってしまいます。

 

お客様には週1回のピラティスをメインとしたエクササイズと、効果の持続と反復を促すためにお伝えしたホームエクササイズも根気強く続けていただき、朝起きた時の一番強くなる痛みは解消されて、まだ違和感は少しだけ残るものの衣服の着脱はスムーズになり、シャンプーも気持ちよく洗えるようになり、日常生活にも大きな改善がみられました。

 

具体的なアプローチの内容として、肩の可動域制限の原因に大きく関わっていた、肩以外の部位に対してのアプローチです。

 

なぜなら肩は『肩複合体』(かたふくごうたい)と言う筋肉や関節のチームから構成されており、腕を挙げたり後ろに回したりなど肩の動きを生み出し、また支えとなる役割を担っているからです。

 

そのため可動域の制限が肩にあったとしても、肩だけに特化するのではなく関連する周辺の部位が肩の動きや安定性にどのような影響を与えているのか考えていくことが大切になります。

 

肩の構造は私達専門家にとっても理解を深めることが難しい部位ではありますが、肩の動きをスムーズにするために本日お伝えしたいポイントはこのチームとして考えることにあります。

 

肩の動きをスムーズにするためのポイント

・肩の動きを構成する4つの関節。

 

肩の動きを考える時に、胸骨(きょうこつ)、鎖骨(さこつ)、肋骨(ろっこつ)、肩甲骨(けんこうこつ)、上腕骨(じょうわんこつ)から構成される4つの関節と関連する筋肉を捉えていくことが大切なポイントとなります。

 

これらを総称して『肩複合体』(かたふくごうたい)と言います。

これら関節は単独で機能するのではなく、チームとして協調しながら機能することで自由な肩の動きを生み出しています。

 

 

胸鎖関節(きょうさかんせつ)

胸骨(きょうこつ)と鎖骨(さこつ)から構成される関節で、体幹と腕を連結する基部として大切な役割を担っています。

胸鎖関節(きょうさかんせつ)は微細ながらも多方向に運動の方向を持っているため、腕を挙げたり前に伸ばすなどその動きに応じて連動して動くことによって肩がスムーズに動きます。

胸骨は肋骨(ろっこつ)の付着部でもあり、鎖骨は首の動きに関連する筋肉の付着部でもあるため肋骨や頭の位置は胸鎖関節の動きに影響を与えています。

 

 

肩鎖関節(けんさかんせつ)

鎖骨(さこつ)と肩甲骨(けんこうこつ)から構成される関節で、動きは微細ながらも多方向に動く肩甲骨の動きと正確性をガイドする役割を担っています。

 

 

肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)

肩甲骨(けんこうこつ)の前面と肋骨(ろっこつ)から構成される関節で、これらは直接接触しているわけではなく背骨や肋骨に付着している筋肉を介して関節面を形成しています。

肩甲骨は肩の動きにおいて十分な可動域と安定性が確保されていることで、腕を頭上に挙げたり肩を回すなど大きい動きを伴っても安全な肩の動きを実現しています。

また、胸鎖関節(きょうさかんせつ)と肩鎖関節(けんさかんせつ)から伝わる動きが肩甲骨の動きをサポートしています。

肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)は、関節面が直接接触していないことから多方向に動きを生み出すことができる反面、背骨や肋骨の影響を受けやすいため不安定になりやすい特徴も持っています。

この不安定な状態が続くことで肩の不調の原因に繋がってしまうことがあります。

 

 

肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)

肩甲骨(けんこうこつ)と上腕骨(じょうわんこつ)から構成される関節で、動きの自由度が高く広範囲に可動域をもち目的に応じた肩の動きを実現しています。

自由度の高い動きを得るために、関節は不安定な構造をしているため靭帯(じんたい)や筋肉によって安定性を供給しています。

また、肩甲骨と上腕骨は連動して動くことも特徴的で、不安定な関節の構造によって肩の動きが制限されないように円滑な肩の運動に貢献しています。

 

これら4つの関節と関連する筋肉が肩の動きに深く関わっており、肩に起こる不調の状態を評価していく中で肩の動きにどの様な影響を及ぼしているのか、原因や対処法を探るための大切なポイントになります。

 

・肩の不安定な動きは姿勢の影響を受ける。

 

肩の動きは上記4つの関節や関連する筋肉がそれぞれ別行動ではなく、ひとつのチームとして協力することでスムーズで自由な動きを実現しています。

 

しかし、そんな多方向に動かすことのできる肩の構造は、実は関節そのものがとても不安定な作りになっています。

 

そのため、この連携した肩の動きはあらゆる要因によって連動性を乱されやすい環境の中にあります。

※特に、肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)は、関節面が浅いはまり方になっていてスペースも狭く、安定性を犠牲に自由度の高い動きを生み出せるような構造になっています。この不安定な構造を補うために、靭帯(じんたい)や筋肉が関節の安定性を供給しています。

 

不安定な構造ではありながらも、日常生活では肩を動かす場面はたくさんありますし、その中でも肩の不調の原因を招かないように安全な動きを得るためには、それぞれの関節がチームとして連携出来る状態を維持することが理想的です。

 

そのための条件を満たすひとつのポイントとして、姿勢を整えることが大切になります。

 

なぜなら肩の土台は体幹(たいかん)であり、猫背や反り腰姿勢など姿勢が崩れることによって体幹から肩の不安定性に影響を与えてしまうからです。

猫背姿勢を例にあげると、背中が丸くなることによって背面の筋肉は過剰に伸ばされてしまい、丸くなった背中のバランスを保つために頭が前に突出することによって肩や首の後ろ、胸の筋肉が短縮して硬くなってしまいます。

 

これら猫背姿勢によってバランスが崩れてしまった筋肉は付着部が肩複合体(かたふくごうたい)に関連しているため、肩のスムーズな動きにとって大切なそれぞれ関節の連動性が低下する原因に繋がります。

 

そして、身体は崩れたバランスでの肩の動きをどんどん記憶するようになっていきます。

※写真は一例ですが、バランスが崩れた状態で肩を動かし続けることによって上記写真のように肩の高さが左右で異なるような状態になったり、腕を上げる時に腰を反るような代償が見られることがあります。これは、姿勢やその他の要因によって肩の動き本来の連動性を失なってしまった結果として、代償反応が起こることが考えられます。

 

たとえ本来の動きから逸脱したとしても、1回や2回くらいの肩を動きであれば肩の不調に直結はしないかと思います。

 

しかし、問題は肩を動かすことは日常生活において数えきれないほど様々な場面で登場する動きであり、正しく対応できるように姿勢から肩に与えられる影響や連動性を復元し、理想的な肩の動きを新たに記憶させていくことで肩の不調を招く原因からアプローチすることが可能になり、再発の予防にも繋がっていきます。

 

理想的な動きの獲得のために

・姿勢や肩の動きを評価し、修正のためのエクササイズを実施。

 

上記では猫背姿勢を例に挙げて肩の不調や違和感の原因と姿勢が関わっていることをお伝えしていきましたが、生活習慣も違えばそれに応じて姿勢も人それぞれ異なるため、姿勢や肩の動きなど個々に合わせた評価をしていくことが大切になります。

 

評価から得られた情報をもとに私のセッションではピラティスを主軸としたエクササイズ指導をしていますが、お客様のお身体の状態に合わせてポールを使ったりピラティス以外のエクササイズにも取り組んでいただくことがあります。

 

日常生活において様々な動きを繰り返す肩の運動を理想的な状態に保持するため、姿勢と動きの修正を同時にアプローチすることができるのはピラティスの強みでもあります。

 

ピラティスには『ニュートラルポジション』という概念があり、私達現代人の多くはデスクワークやスマートフォンなど生活習慣によって姿勢が乱れやすい環境の中にいますが、そんな環境の中でもニュートラルポジションは人間が本来持っている姿勢と筋肉のバランスを支えるためのひとつの指標であり、ピラティスではこの指標をエクササイズに活用することで理想的な動きの獲得に効果的です。

 

実際にエクササイズに取り組んでいただくと、本人には自覚のない動きがクセとして出現することが非常に多くあります。

この自覚のない動きが日常生活にも反映されていることが予測され、肩の不調や違和感を招く原因にもなり得ます。

 

初めは意識していてもこのクセを修正することは難しいですが、エクササイズをくり返していくことで少しずつ肩が本来持っている理想的な動きを新しく記憶していくことに繋がっていきます。

 

姿勢やそこから生じる動きのクセを、個々で異なる身体の状態に合わせて修正していくことが肩の動きをスムーズにしていくための大切なポイントになります。

 

本日のまとめ

 

肩に起こる不調や違和感は、日常生活における様々な場面で影響を与えることがあります。

 

肩は構造そのものが不安定なつくりをしており、肩の動きは肩複合体を構成する関節と関連する筋肉がそれぞれ連動することによって自由度の高い動きを実現していますが、これら関節や筋肉がそれぞれひとつのチームとなり連携して肩の動きを生み出すことができなくなってしまうと、肩の不調や違和感の原因になり得ます。

 

姿勢が乱れることによって肩の土台である体幹は肩をうまく支えることができず、不安定な動きがどんどん身についてしまうことに繋がってしまいます。

 

理想的な肩の動きを獲得するためには、姿勢を修正していき正しい動きを肩に記憶させていく必要があります。

 

ピラティスは『ニュートラルポジション』という概念のもとエクササイズに取り組んでいくため、姿勢と動きの両面からアプローチすることが可能です。

 

エクササイズを通して動きのクセを見つけることができ、そのクセを修正していくことが肩の動きをスムーズするためのポイントになります。

 

肩の不調や違和感の原因に繋がる要因を知り、それらを少しずつクリアにしていくことが予防や再発防止のために大切なことだと考えています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

パーソナルトレーナー 石堂浩毅

 

・お問い合わせについて

慢性的になっている肩の不調でお悩みの方は、下記リンクより一度お気軽にご相談ください。

 

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